患者様によく聞かれる質問があります。それは、「自然と治りますか?」です。
残念ながら、「治りません」。
なぜなら、下肢静脈瘤の原因は壊れてしまった”弁”にあるからです。
一度壊れてしまった弁は治りません。この病気を”内科”ではなく、”外科”とくに”血管外科”であつかうのは、そういう理由です。
つまりマッサージやサプリメント、内服薬では下肢静脈瘤は治らないのです。
ではどうやって治療すればいいのでしょうか?
結局”手術”に頼るしかありません。
体に優しい「高周波治療」
手術と言ってもいろいろな種類があります。静脈を針金で引っこ抜いてしまう”ストリッピング”という100年以上の歴史をもつ手術が最も効果的だったのですが、医療の進歩に伴い、高周波による”血管内治療”という新しい治療が脚光を浴びるようになりました。
逆流している静脈の中に、専用の細い管(カテーテル)を挿入し、高周波を利用した熱で静脈を塞ぎます。塞いだ血管は徐々に体に吸収されていきます。静脈を塞いでも、他にもたくさん静脈は存在しているので問題ありません。
逆に、逆流を起こしている血管がなくなることにより足への負担は減るのです。
高周波治療は、日帰りで、しかも局所麻酔のみで行え、傷跡も針穴程度で済むという画期的な治療です。
治療時間も片足10分程度と短く、手術当日の所要時間は、来院からクリニックを出るまでに2時間程度です。
軽度の静脈瘤には「硬化療法」
高周波治療が必要なほどではない軽度の静脈瘤の方もたくさん見えます。我が国の統計では、実に45歳以上の女性の約4人に1人が下肢静脈瘤にかかっているとされています。
無症状だけど見た目が気になる、あるいは生理のときに痛みを伴う”陰部静脈瘤”に悩まされている、昔手術したけど再発してしまった、そんな方には、硬化剤という静脈瘤専用の薬を注入する「硬化療法」が最適です。
治療時間は10分程度です。硬化剤を注入した血管は、高周波治療と同じように徐々に体に吸収されていきます。
もちろん硬化療法も高周波治療同様に、保険診療です。
治療料金 (片足治療の場合)
治療内容 | 1割負担の場合 | 2割負担の場合 | 3割負担の場合 |
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高周波治療 | 約10,000円 | 約20,000円 | 約30,000円 |
硬化療法 | 約1,800円 | 約3,600円 | 約5,500円 |
保険診療ですので、自己負担割合により料金は異なります。
その他に、治療後に着用していただく医療用弾性ストッキングの料金が別途必要となります。
治療の流れ
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ご予約
クリニックに直接お電話をしていただくか、このホームページのWeb予約からご予約ください。
Web予約ページでは、ご希望日の予約空き時間をカレンダーでご確認いただけます。
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初診
順番となりましたら、診察室でお話を聞かせていただきます。
その後、経験豊富な女性臨床検査技師が、下肢の血管の状況を確認する超音波(エコー)検査を実施します。この検査は短時間で行われ、身体への負担が非常に少なく、痛みを伴いません。
診察により下肢静脈瘤の治療が必要であると診断され、患者様が治療に同意された場合、同意書の記入や手術の説明、治療前の血液検査を行い初日は終了となります。
(日曜日に臨時開院した場合と祝日にご来院された患者様の採血検査は、後日になる場合がございます。) -
治療当日
最短で診察の2日後から高周波治療を受けることができます。痛みは少なく、全身麻酔も必要ありません。
治療前に、術後1ヶ月着用していただく、むくみを抑え下肢静脈瘤を予防する医療用弾性ストッキングについてご説明させていただきます。
治療時間は片足10分、両足25分程度で、日帰りでの治療となります。治療当日から日常生活は通常通りでかまいません。
その他の動作等について(スポーツ開始時期等)は、詳細に記載された表をお渡しします。 -
術後通院
治療の翌日から2日後までの間に一度、超音波検査で治療した血管の状態を確認し、診察します。
治療1ヶ月後に経過観察を行い、症状の改善を確認して治療は終了となります。